モズク品質をAI判定、ウミンチュの勘と経験をデジタル化
漁協の業務DX、生産安定化に一役
全国で流通する養殖モズクの9割が沖縄産です。健康食材として人気がある一方、漁業者の高齢化・後継者不足などを背景に、品質判定は経験と勘に基づいて行われており、作業効率化と品質管理が課題となっています。経験則から良品と分かっていても品質が販売単価に反映されず、県産ブランド規格化に向けた品質の定量化が求められています。うるま市にシステム開発拠点を持つTOPPANデジタル(東京、坂井和則社長)は、令和5年度沖縄県ICTビジネス高度化支援事業を活用し、「品質判定AIアプリ」「重量管理アプリ」を開発し、これまで人手で行っていた品質判定・紙伝票管理をデジタル化することで、作業負荷の軽減や品質管理を支援する漁業DX推進に取り組みました。
- 令和5年度ICTビジネス高度化支援事業
- 技術高度化ステージ
事業の目的
これまで目視で判定してきたモズクの品質をAIで判定することにより、漁業者の暗黙知を形式知化し、生産者のものづくり意識を高め、ブランド価値を向上させることを目標とします。また従来、手計算・手書きで行われてきた紙伝票管理を電子化するアプリを開発し業務効率化を図ります。
実施内容
勝連漁協にて2023年9月〜2024年2月にかけヒアリング・実証を行いました。
品質判定AIアプリは、水揚げ期のモズク画像を収集しAIモデルを構築。水揚げは3月のため、2月中に仮テストを実施し、本格的な実証を3月からとしました。紙伝票管理の効率化は、現状のアナログ管理の工数を把握し、重量管理アプリ試験導入後の工数削減効果を確認します。
事業の成果
品質判定AIアプリ:「太さ」と「ぬめり」の状態を画像から数値化して、独自に開発したロジックで品質を判定するAIアプリを開発。今後さらにデータを収集し、AI判定精度の向上を目指します。
紙伝票管理の電子化:1水揚げあたり4分かかる手作業の工程を、タブレット入力により2.5分にまで短縮し、後続の事務作業の効率化にも繋がります。
事業の展望
県産モズクのうち最も生産量の多いうるま市勝連は、まさに日本一の産地です。ブランド化には品質の規格化、トレーサビリティ管理や水産養殖管理の世界基準ASC認証取得なども視野に入れ、生産条件や収穫に関するデータを蓄積しておくことが重要になります。今後は生産工程の見える化アプリも開発予定であり、生産者に作業場所や生育情報をスマートフォンから入力してもらい、生産履歴の可視化や生産工程の改善を図ります。経験値に基づいて行われていた品質判定や生産技術をデジタル化することは作業負荷軽減や品質管理支援にもつながります。漁協の方もこれらのアプリを実際に使用して「収穫量計算が素早くできて便利」「品質を規格化してブランド化につなげてほしい」と非常に好評でした。ウミンチュの技をデジタル化し、生産安定化につながるよう、サポートに尽力します。
構成企業※内容は事業採択時のものです
TOPPANデジタル株式会社
代表者名 | 坂井和則 |
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事業内容 | TOPPANグループ全体のDX事業戦略策定、DX事業の創出・推進、DXに関わる研究・開発、ITインフラの提供等 |
設立年月 | 2023年3月 |
住所 | 本社:東京都文京区水道1-3-3 沖縄サテライトオフィス:沖縄県うるま市州崎14-11 沖縄IT津梁パーク アジアITビジネスセンター305号室 |
TEL | 098-988-7980 |
Webサイト | http://www.digital.toppan.com/ja/ |
ISCOハンズオン支援内容 | 遂行状況の確認・助言/事業報告の確認・助言/テストフィールドの発掘/技術情報展開支援/ビジネスモデル事業化支援/成果事例報告会の実施/年間有識者の派遣 |
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