RFIDを活用した循環経済ビジネスと在庫管理システムの高度化
MICEなど大口案件に対応した在庫管理DX
IT企業okicom(宜野湾市、小渡玠代表)は、サトウキビの搾りかす(バガス)から、かりゆしウェアを製造し、シェアリングサービスを展開するBAGASSE UPCYCLE(那覇市、地域創生コンサルティング会社Rinnovationとの共同出資)を2021年に設立。システム開発・ビジネス開発をokicomが主導するかたちで、県内ホテルに宿泊するビジネスマン・観光客を対象にかりゆしウェアのレンタル事業等を行っています。令和5年度沖縄県ICTビジネス高度化支援事業を活用し、大型MICEなどBtoBの大口案件を想定した業務オペレーションに対応するRFIDを活用した在庫管理のシステムの高度化を図りました。
- 令和5年度ICTビジネス高度化支援事業
- 技術高度化ステージ
事業の目的
現在、ウェア一着一着に、交通系カードや電子マネーなど(スマホでタッチするタイプの)NFC方式(※1)のタグを付与し、固有IDや利用回数、予約から返却までの手続等の個体管理を行っています。しかし一度に大量のウェア貸し出が想定される大型MICE等の対応には不向きです。そこで数百着単位の一括スキャンや入出庫管理など、離れた位置から複数のICタグを一度に読み取り管理業務に対応できるRFID方式(※2)のタグを使った在庫管理システムの高度化とマーケット調査を実施することになりました。
※1 磁界誘導を利用した近距離無線通信技術で約10センチまでの距離に対応。NFCタグは一度にひとつだけスキャンできる。
※2 1と同様の通信技術だが、通信距離に違いがあり約10メートルまで通信可能。複数のRFIDタグを一度に短時間でスキャンできる。
実施内容
RFIDプリンターにて、情報を登録したICタグを印刷。在庫800着にタグを付与。タグは大きさ3ミリ四方と小さく、襟元のネームタグの裏に取り付けても、200回以上の洗濯にも耐える強度があります。ガンタイプのスキャナーで一度に数百枚単位のタグ情報を読み取り、貸し出しや返却作業の効率化を図ることが可能です。例えば未返却のウェアを瞬時に判別することで、労働力・ヒューマンエラーの削減にもつながります。RFIDのハードウェアは、ノウハウを持つカサイエレック社(本社:愛知、支社:糸満市)と連携、プロジェクト全体のシステム構築はokicomが行いました。
事業の成果
大口案件に対応した在庫管理のオペレーション基盤の構築によって、MICE運営者(旅行代理店等)や在庫の保管・管理が発生する観光施設等を中心にBtoBの開拓が可能になります。昨今の人口減少と労働力の枯渇に直面する国内企業において、ITを駆使した省人化は喫緊の課題です。県内中小企業に行った訪問調査でも、一定の市場規模が確認できた一方、今後は産業分野や在庫管理状況に応じたアジャイルの要件定義など、顧客別にニーズの解像度を上げる営業展開が必要と考えております。
事業の展望
アパレル事業者、修学旅行やリゾートウェディングなど観光関連事業者のほか、重機等のリース業、監視カメラをリースする警備会社など、モノを扱う全業種の在庫管理効率化に対応できるシステムとして、広く皆様に使っていただき、導入実績を積み上げていきたいです。またシステムを通し、かりゆしウェアのアップサイクル(高付加価値化)を掲げる当社の循環型ビジネスモデルを訴求するとともに、サステナブルに高い感度を持つ客層の獲得、持続可能な沖縄観光に寄与していきたいと考えております。
構成企業※内容は事業採択時のものです
株式会社okicom
代表者名 | 小渡玠 |
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事業内容 | IT関連の総合コンサルティング、保守サポート、GIS・ソフトウェアの企画・開発、WEBコンテンツの企画・製作、パッケージソフトウェア販売・運用支援、コンピュータ関連機器の販売、サーバ・ネットワーク構築、専門技術者の派遣 |
設立年月 | 1980年1月 |
住所 | 沖縄県宜野湾市大山1-17-1 |
TEL | 098-898-5335 |
Webサイト | https://okicom.co.jp |
ISCOハンズオン支援内容 | 遂行状況の確認・助言/事業報告の確認・助言/テストフィールドの発掘/技術情報展開支援/ビジネスモデル事業化支援/成果事例報告会の実施/年間有識者の派遣 |
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