「好き」なコトでつながる新SNS「cion」(シオン)
ストレス投稿を感知、アマギフで投げ銭、商品開発にも活用
「スッパイマン」など沖縄を代表する土産菓子メーカー「上間菓子店」(豊見城市、上間幸治社長)が新たなSNSアプリ「cion」(シオン)の開発に挑んでいます。独自のアンケートを実施した結果、SNSの普及とともに、約6割の利用者がストレスを感じており、最も多い原因が「望まないつながり」「興味のない投稿」との接触によるストレスであることが分かりました。SNS利用による気分障害を社会的課題ととらえ、令和5年度沖縄県のICTビジネス高度化支援事業を活用し、好きな「コト」(カテゴリー)のみでユーザー同士がつながるSNS開発に取り組むことになりました。収益の柱はアプリ内の企業広告収入と投稿者へのオンライン送金(投げ銭)システム「cien」(しえん)の手数料です。
- 令和5年度ICTビジネス高度化支援事業
- 技術高度化ステージ
事業の目的
アンケート調査からSNS利用の問題点は大きく2点あるとみています。一つは「情報過多」。友人・フォロー等でつながった人の投稿には、華やかな私生活のアピールや政治的内容のコメントなど、触れたくない・興味のない情報も多々含まれます。2つ目はつながりたくない人とのつながり。特に自分のプライベートや趣味嗜好を知られてしまう事、逆に相手の知りたくない情報を閲覧してしまうこともストレスになっているようです。既存のSNSのつながり方とは違う、好きなコト・興味にフォーカスを当てた仕様とすることで、これらを解決し、ストレスのないSNSを実現しようと開発に着手しました。
実施内容
ユーザーは「猫」「アニメ」など50を超えるジャンルから興味のあるカテゴリーを選択、カテゴリー内で投稿・閲覧ができます。ユーザーが不愉快と感じる投稿は事前に察知できる監視機能を搭載。感情解析AIを活用し、ネガティブと判断されたときは運営側へアラートが発信され、ネガティブ投稿への注意喚起ができる仕組みです。フレームワークはGoogleのFlutterを活用し、Android、iOS、webなどクロスプラットフォームな開発に対応しています。また投げ銭のように、投稿者へオンライン送金できる機能「cien」(しえん)も開発しました(現状はアマゾンギフトで対応)。
ベータ版を県内の10〜30代男女70人に2週間試用してもらい、投稿・閲覧など使用頻度を5段階に分けた評価を元に、ニーズ・必要機能の洗い出し・UI/UXデザインを検証。今後、県内3企業からテスト広告を出稿し、一定期間のクリック数を集計、効果測定を行う予定です。
事業の成果
ユーザーにとっては既存SNSに比べ、望まないつながりを低減させ、クローズドなつながりへのニーズを満たすことができます。投げ銭機能「cien」は、現在アマゾンギフトで対応していますが、将来的には金銭でのやりとりができるよう改善する予定です。
企業にとっては集約したデータを活用し、直接ユーザー向けに商品開発・提供するD2Cの展開も可能です。また広告を投稿者へ直接依頼・対価を支払うことができます。このようにユーザーはSNSの利用時間から新たな収益を得ることで、より豊かな生活の実現、ストレスの軽減につながり、企業もカテゴリーに特化した広告を効率よく配信できます。
事業の展望
ユーザーの獲得・収益化については、自社サイト会員やSNSなどでキャンペーンを展開。インフルエンサーの活用やテレビ・新聞等のメディア露出、関係企業も巻き込んで認知度アップを図っていきます。広告収入手数料・投げ銭システム手数料は、最適な価格設定を検討し、市場への浸透を狙います。広告・販売にかかるUIUXの検討、システム運営の安定化などの課題に取り組みつつ、市場の需要に応じた商品開発・販売を行っていきたいです。
構成企業※内容は事業採択時のものです
株式会社上間菓子店
代表者名 | 上間幸治 |
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事業内容 | ①菓子製造小売業 乾燥梅を主力商品とする梅に関わる商品(スッパイマンブランド商品)の製造・販売事業 ②IT事業 新型SNS cionの展開(現在事業開発中の本事業) 自社発注・製造・在庫管理システムの開発 |
設立年月 | 1966年8月 |
住所 | 沖縄県豊見城市字豊崎3番64 |
TEL | 098-840-6000 |
Webサイト | https://www.amaume.co.jp/about/ |
ISCOハンズオン支援内容 | 遂行状況の確認・助言/事業報告の確認・助言/テストフィールドの発掘/技術情報展開支援/ビジネスモデル事業化支援/成果事例報告会の実施/年間有識者の派遣 |
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