化学物質管理システム「i.Bou-CM」
法改正に対応、ワンストップサービスへ機能追加
労働安全衛生法改正により、化学物質を取り扱う全職場に義務化されている、危険性・有害性を通知するラベル表示・SDS(安全データシート)と、リスクアセスメント実施義務の対象となる化学物質が大幅に追加されます(2024年4月施行)。今後も順次追加され、化学物質管理にかかる業務負担が予想されています。国際基準GHS対応の化学物質管理システム「i.Bou-GHS」の開発・販売を手掛けてきた「iBou」(名護市、畠中庸光代表)は、令和5年度沖縄県ICTビジネス高度化支援事業を活用し、既存機能の改善、リスクアセスメント支援機能を新設した「i.Bou-CM」の構築・市場検証を目指しました。
- 令和5年度ICTビジネス高度化支援事業
- 技術高度化ステージ
事業の目的
化学物質起因の労災防止を目的に、全事業者に義務化(2016年)されたリスクアセスメントは、人材不足・手法の不明瞭さ・努力義務規定であることから、実施率は低水準です。今回の法改正で674種類(2021年)だった対象物質は約2900種類(2026年)に増加。SDSの5年以内ごとの見直し、がん原性物質記録の30年保存義務付など、事業者の業務負担増が推測されます。これまでもSDS作成システムを提供してきた弊社は、規制対象拡大に伴う業務増加をニーズと捉え、リスクアセスメント支援機能を新設し、SDS作成機能の拡充、GHSラベル作成・印刷までのワンストップサービス「i.Bou-CM」の構築に着手しました。
実施内容
増加した対象化学物質に対し、SDS交付・GHSラベル作成量も一気に増えると予想されます。新しい管理システムでは、改正に準じたラベル情報をtsv形式で出力できる機能を追加し、ラベル作成にかかる手入力業務の負担軽減を図りました。
新たに開発したリスクアセスメント作成支援システムは、SDS発行回数が少ない中小事業者でも利用しやすいようクラウドサービスで提供。SDSの基本情報に基づき、作業環境など16項目の質問に答えることで、具体的な方法などが自動的に文章化される仕組みです。
事業の成果
機能実証は、絶縁体・塗料製造事業を手掛ける明電ケミカル(株)にて実施しました。今後、機能の操作性、化学物質の分析結果等をヒアリングし、さらに改善を重ねる予定です。法改正に伴う対象化学物質の登録件数をアップデートしたことで、2026年まで対応できるSDS・GHSラベル作成が可能になり、リスクアセスメント支援機能を連結させたことで、アセスリポート出力までを一気通貫させるシステムの構築を実現しました。
事業の展望
化学物質管理システムは、直接の儲けにつながらない投資であるため、利用料の価格設定は市場獲得の重要条件になります。厚労省が無料提供している類似ソフトはありますが、機能性・利便性向上を図ることで、有料利用への誘導は可能と見ています。しかしかれらの管理業務は煩雑で専門知識を要するため、検討から導入まで1〜2年かかるケースは多々あり、導入後も各社ごとの対応に時間が割かれるため、開発コスト回収には、サブスクリプションや代理店の活用などが理想と考えております。多言語対応をさらに進め、安全性の担保・輸出対応強化を図るツールとして、制度の認知度・事業者の関心を高める販促活動を進めていきます。
構成企業※内容は事業採択時のものです
株式会社iBou
代表者名 | 畠中庸光 |
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事業内容 | 化学物質管理関連のソフトウェアの製造と販売、SDSの受託作成 |
設立年月 | 2015年8月 |
住所 | 名護市仲尾81番地 |
TEL | 0980-58-2860 |
Webサイト | https://www.iboughs.com/ |
ISCOハンズオン支援内容 | 遂行状況の確認・助言/事業報告の確認・助言/テストフィールドの発掘/技術情報展開支援/ビジネスモデル事業化支援/成果事例報告会の実施/年間有識者の派遣 |
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