
写真報告アプリ「smart tag camera」に新機能
現場写真をAIが解析、点検場所を自動判定することで現場記録をスマート化
スマホで簡単に現場記録・報告書作成ができるアプリ「smart tag camera」を提供する「カレンティア」(本社:東京、星山薫代表)。建築や設備に関する点検や調査での大量の画像を扱う現場の作業効率化を図るため、沖縄県の令和6年度ICTビジネス高度化支援事業を活用し、AI画像解析で点検箇所(タグ情報)を自動判定できる機能を開発しました。令和5年度にも同補助事業を活用し、サービスをSaaS(※1)化しており、今回は、AI画像解析を使った新機能を追加開発し、競合他社との差別化に取り組みました。
※1 SaaSとはクラウド上で提供するソフトウェアを、インターネットを介してユーザーが利用できるサービス形態のこと。例)Gmail、チャットツールSlackなど。
- 令和6年度ICTビジネス高度化支援事業
- 技術高度化ステージ
事業の目的
現場調査や点検は、担当者が現場に移動し、撮影・記録を行い、帰って報告書を作成するという労働集約型の業務となっており、少子高齢化や働き方改革の影響で業務効率化が注目されています。特に台風や塩害など厳しい環境にある沖縄では、調査・点検作業は重要であるにもかかわらず、まだまだアナログな手法に依存しているのが現状です。こうした課題を背景にリリースした「smart tag camera」では、撮影した点検箇所(タグ情報)をアプリ上で簡単に記録できる機能を搭載してまいりました。しかし、大量の写真撮影が必要な現場などではタグを設定する時間すらなく、写真整理を後回しにしている実態がありました。そこでAI解析で点検箇所を自動判定し、タグ入力する手間を省く機能開発に着手しました。
実施内容
まずアプリの過去データを分析し、点検箇所としてタグ入力される頻度の高い「内壁」「床」「天井」を判定対象(予測表示)の項目に絞り込みました。
AIに対象部位の写真を学習させることで専用のモデルを構築し、撮影された写真をAIに解析させて、解析結果から予想されるタグをユーザーにサジェストする機能をアプリに実装しました。
構築したAIの精度は、正解率90%を誇り、これにより、ユーザーはサジェストからワンタップでタグを選択できるようになり、現場での記録をよりスピーディに進めることができるようになります。当然、該当するタグがサジェストされない場合も従来通り、任意のタグを選択いただけます。
事業の成果
アプリの新機能は、沖縄県内と県外の現場で実証してもらい、AIタグ判定の有効性を検証しました。AI判定の正解率は90%となり、目標として掲げていた70%を超えましたが、実際の現場でもタグ入力する手間を省くことに成功し、「現場での記録の手間が減り、作業が楽になった」といった業務効率化に関する高い評価を得られました。何より、先進技術がアナログな現場を変える体験を通して、顧客に感動を与えられることを再認識できました。
市場全体のAI技術への期待が高まる中で、AIタグ判定に対するユーザーの関心は高く、この技術で現場のDXに貢献できると期待しています。
事業の展望
写真毎に点検箇所(タグ情報)を選択する手間が省け、これまで事務所に戻って行っていた写真整理業務が減ったことで、建物調査や点検など、本来の業務に専念できるようになります。既存の建築や設備の老朽化や新築物件の品質検査のニーズ高騰が進む中で、現場報告支援システムのターゲットは幅広いですが、当社は特にDX化が遅れている中小企業へサポートの浸透を図っていきます。今後、AI判定の精度を上げ、判定できるタグの種類を増やし、ユーザー企業独自のタグについても対応できるよう検討していきます。

構成企業※内容は事業採択時のものです
株式会社カレンティア
代表者 | 星山薫 |
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事業内容 | システム導入コンサル、システム開発、システム保守・運営/モバイルアプリケーション開発/Webデザイン、Webサイト制作/自社サービスの提供 |
設立年月 | 2016年3月 |
住所 | 本社:東京都品川区五反田7-9-5 SGテラス9F 那覇支店:沖縄県那覇市おもろまち4丁目19-14八重洲第7ビル502号室 |
TEL | 03-5496-1081 098-988-1523 |
Webサイト | https://currentia.co.jp/ |
ISCOハンズオン支援内容 | 遂行状況の確認・助言/事業報告の確認・助言/テストフィールドの発掘/技術情報展開支援/ビジネスモデル事業化支援/成果事例報告会の実施/年間有識者の派遣 |
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