OIST発ベンチャーWatasumiの次世代型排水処理装置
okicomと協業、IoT遠隔管理システムを高度化 小規模泡盛メーカーの課題解決を目指す
泡盛などの製造過程で発生する排水には、有機物質(米の残渣・麹菌など)が多く含まれるため、排出量によっては適切な処理が必要となります。OIST発ベンチャーのWatasumi社は、小規模泡盛メーカー等向けに、嫌気性バクテリアを使って分解・ろ過する排水処理装置を開発。令和4年度、okicom社と協業し、遠隔でも処理装置の稼働が監視できるIoT遠隔管理システムを実装しました。令和5年度はIoTシステムの高度化を目指し、UIの改善・コスト低減・事業化に向けた具体的なマーケット調査を行いました。
- 令和5年度ICTビジネス高度化支援事業
- 技術高度化ステージ
事業の目的
令和4年度の調査では、特に小規模な酒造所で、水処理にかかるコストや人員配置が負担であることという実態が分かってきました。そこで私達は環境に配慮した排水処理システム導入によって、泡盛業界全体の意識改革、SDGsをトレンドと捉えた各メーカーのリブランディングの一助となるべく、両社によるプロダクトの技術高度化と、より深化させたマーケット調査を行いました。
実施内容
- IoT遠隔管理システムの安定性と耐久性を担保するため、モーター駆動させているトグル操作のICチップによる運用への移行と、水量計の設置による排水処理量計測の実証実験をOIST内の研究施設にて行いました。
- 装置内のバクテリアの活動状況などをモニターする管理者側のインターフェイスに加え、実際のユーザー向けUIの仕様・開発・実装に取り組みました。
- 装置のIoT機能における製造原価の低減・量産化に向けた検証を行いました。
- 令和4年度にヒアリングした9酒造所のうち、積極的にシステム採用を検討している3社へケーススタディの導入を実施しました。
事業の成果
バクテリアの活性度・水量計・酸素濃度・pH濃度といった管理モニターのインターフェイスは、実際のユーザーを想定したUIを構築しました。IoTにより初期導入コストを低減することができ、サブスクリプションであれば小規模酒造所でも導入可能なコスト感が見えてきました。さらに、導入の検討に前向きな3酒造へのケーススタディを経て、県内のお客様が導入しやすい価格(リースモデル)等の条件整備が進んだと感じています。
事業の展望
大手メーカーが採用する高額な廃水処理設備に比べ、Watasumi社のシステムは、嫌気性バクテリアを活用した低メンテナンス性・設備や機器の小型化など、中小メーカーにとって導入コストの圧縮を可能にするオンリーワンの技術(特許取得)です。現在、MVPの段階であり、今後の事業化には量産型装置の開発を行う必要がありますが、小規模クラフトビール工房やワイナリーの増加など、国内の市場規模は拡大しています。すでに北海道などの小規模蒸留所で年度内の導入が決定しており、今後は台湾・韓国・中国も視野に入れた市場創出、シェア獲得を目指したいと考えております。
構成企業※内容は事業採択時のものです
コンソーシアム名:次世代型廃水処理装置推進コンソーシアム
株式会社okicom
代表者名 | 小渡玠 |
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事業内容 | IT関連の総合コンサルティング、保守サポート、GIS・ソフトウェアの企画・開発、WEBコンテンツの企画・製作、パッケージソフトウェア販売・運用支援、コンピュータ関連機器の販売、サーバ・ネットワーク構築、専門技術者の派遣 |
設立年月 | 1980年1月 |
住所 | 沖縄県宜野湾市大山一丁目17番1号 |
TEL | 098-898-5335 |
Webサイト | https://okicom.co.jp |
Watasumi株式会社
代表者名 | デイヴィッド・シンプソン |
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事業内容 | 沖縄科学技術大学院大学(OIST)のスピンアウトベンチャー。微生物を用いて工業排水の中に含まれる有機物を分解し、電気とメタンガスを生成する技術を用いて、ほぼメンテナンスフリーの有機排水処理システムを開発。リースを行う。 |
設立年月 | 2021年10月 |
住所 | 沖縄県国頭郡恩納村字谷茶1919番地1 |
連絡先 | https://www.watasumi.com/contact |
Webサイト | https://www.watasumi.com/ |
ISCOハンズオン支援内容 | 遂行状況の確認・助言/事業報告の確認・助言/テストフィールドの発掘/技術情報展開支援/ビジネスモデル事業化支援/成果事例報告会の実施/年間有識者の派遣 |
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