食品衛生管理アプリ「ハサップログ」
ユーザー満足度を高める新機能を開発/マーケティング強化し市場開拓
食品工場やレストランなど、食品を取り扱う全事業者を対象に、2021年から完全義務化された食品衛生管理手法HACCAP(ハサップ)。導入が進む一方、多くの工場ではいまだに衛生管理が紙ベースで行われており、膨大な記録業務が現場を圧迫しています。42年にわたり包装機械・資材販売等を通じて県内食品会社をサポートしてきた松幸産業(南風原町)は、義務化に先駆けて2018年、食品衛生管理アプリ「ハサップログ」をリリース。昨年度に続き令和5年度沖縄県ICTビジネス高度化支援事業を活用し、ユーザー満足度を高める新たな機能開発と認知度向上のためのマーケティング活動を展開しました。
- 令和5年度ICTビジネス高度化支援事業
- 事業化ステージ
事業の目的
【1】機能拡大・開発
(1)ライン記録ごとに承認が行えるようにアップデート
(2)ライン記録表の拡大縮小機能を実装
(3)カレンダー機能の自動日付変更機能
(4)ライン記録表のサイドエリアに任意の列で固定
(5)課題管理、特記事項入力時に画像取り込み
【2】マーケティング活動
(1)企業リストの取得(共催ウェビナー参加・営業リスト購入等)
(2)ハウスリストへの接触(ホワイトペーパー作成・自社ウェビナー開催等)
(3)商談数の獲得(インサイドセールス・メール配信等)
実施内容
ハサップログ利用400社(2023年6月時点)のうち、県内外コアユーザー5社からの要望を集約。食品安全マネジメントシステムに関する国際規格「ISO22000」等の審査時に役立つ機能・各社共通の要望・全企業のメリット―の条件を満たす、緊急度・優先度の高い5機能を新たに開発し、ジャパンキャビア(宮崎県)にて実証を行いました(※公開日時点)。
また品質向上を目的に、JavaScriptからTypescriptへの移行(エラー防止・堅牢性アップ)とNuxtをアップデート(操作性アップ)し、ユーザー体験を高める技術改善を実施。同時にウェビナー開催・メール等を活用したマーケティング活動を行いました。
事業の成果
(1)の機能は、記録表の「月単位の承認」を必要とする企業に対応。実装したことで全国のISO22000取得企業(1548社)でアプリを使用することができます。
(3)の機能は、未完成のロット(半製品)を自動で翌日の製造に変更できるカレンダー機能で、この作業に時間をかけたくない大半の工場から高評価を得ています。
(5)の機能は、課題発生時の特記事項記録を残す機能に、画像を添付できるようにしました。テキストに画像も加えることで、改善までの追跡に役立つと評価を得ています。
(2)(4)の機能は、表の拡大縮小・列の固定など、視覚的な使用感アップを図りました。
事業の展望
一般的に食品衛生管理アプリは、企業にとって導入時の労力が大きい分、導入後の他社サービス乗り換えは難しい事が推測されます。そこで今回、「ISO22000」取得企業や厚生労働省HACCPなど厳格な基準にも対応し、新規開拓も見据えた既存ユーザーの満足度向上・長期契約(解約率の低減)につながる開発を実施しました。同時にハサップログの優位性(導入コスト・月額使用料の安さ、シンプルな操作性等)を訴求する各種マーケティングで、商談40件・トライアル5企業の獲得を実現しました。ハサップログを食品衛生管理のプラットフォームへと成長させるべく、今後も差別化を図っていきたいと思います。
構成企業※内容は事業採択時のものです
株式会社松幸産業
代表者名 | 末吉啓真 |
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事業内容 | 包装機械・資材販売・アプリケーションソフトの開発・販売 |
設立年月 | 1980年11月 |
住所 | 沖縄県島尻郡南風原町字津嘉山1678番地3 |
TEL | 098-889-8946 |
Webサイト | https://matuyuki.info |
ISCOハンズオン支援内容 | 遂行状況の確認・助言/事業報告の確認・助言/テストフィールドの発掘/技術情報展開支援/ビジネスモデル事業化支援/成果事例報告会の実施/年間有識者の派遣 |
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