団地にPAL端末設置、高齢者などの買い物難を解消
安価野菜販売と健康支援の搭載アプリを開発
データを活用した野菜等の卸売業を展開する「喜くばり本舗」(本社:豊見城市、山川朝賢代表)は、高齢化が進む団地居住者の買い物難の解消、経済的負担の軽減を目的に、令和5年度沖縄県ICTビジネス高度化支援事業を活用し、グループ企業マギー(株)が開発したIoT多機能端末「PAL」(パル)に搭載するアプリを開発。カードスキャンやパネルタッチが主で、複雑な操作が不要なPAL端末に、新鮮で安価な野菜を注文できる機能を搭載し、団地内にPAL設置することで、スマートフォンなどのデジタル機器に不慣れなシニア世代でも安価野菜を注文し、団地内で受け取れるサービスの提供を目指しました。
- 令和5年度ICTビジネス高度化支援事業
- 事業化ステージ
事業の目的
高齢化が進む団地では、スーパーへの行き来や購入品の持ち運びなどに困難を感じる居住者が増えています。団地内で食材を注文し、受け取れるなら買い物が楽になる。デジタル機器が苦手な高齢者の操作性を考慮し、全国1500店で導入され、簡単なタッチ操作で戸惑うことがないPALなら、団地に設置するメリットが大きいと考えました。また昨年、那覇市内の団地自治会と連携して行ったアンケートでは、「安い野菜なら購入を希望する」人が34%、那覇母子寡婦福祉会会員では95%に達しました。当社は県内100農家、県中央卸青果市場との直接取引により、安価での野菜提供が可能。低所得世帯の経済的な負担も軽減できると考え、一般野菜を受発注できるPAL搭載アプリの開発に着手しました。
実施内容
- 野菜受発注を行うためのPAL搭載アプリ開発
個人IDとひもづけた指定ポイントカードをPAL端末でスキャン。個人識別を行った後、PAL搭載の一般野菜購入アプリから注文すると、端末を設置している団地自治会事務所等に商品が配達される。 - オペレーターアプリ開発
一般野菜発注アプリを通した受発注情報を管理・操作するアプリを開発 - 実証実験
PAL設置に向けて小禄市営住宅で一般野菜販売へのアンケート調査を実施し、設置契約書の内容確認、2023年12月に交渉を締結した。
※ヘルスケアの搭載アプリ開発は、医療機器承認の必要性により、開発申請取り下げ(開発中止)
事業の成果
小禄市営団地(全600戸)自治会の協力を得て、2月から実証をスタート。本事業で開発した一般野菜購入アプリを搭載したPAL端末を自治会事務所に設置。野菜の注文方法をデモンストレーションし、利用登録をした居住者に配布した専用カードと一般野菜購入アプリを実際に使っていただき、受発注にかかる端末動作の実証を行いました。実証開始前の1月時点で、団地入居者52人から利用登録の申し込みがあり、ニーズの高さを実感しました。安価野菜のリアル販売会を通して、利用者からアプリの機能性、操作性、効率性などのヒアリングを行い、改良につなげます。
事業の展望
今後、小禄市営団地で安価野菜の販売会を定期的に実施。一般野菜購入アプリの周知と利用促進、売り上げの構築を図ります。将来的には、有機野菜産直便購入アプリやスーパーチラシ購入アプリ、ヘルスケアアプリなども新たに開発し、PALに搭載。受発注業務の専属オペレーターの採用や利用者宅への配達システムも整え、さまざまなライフサポートの実現を目指します。居住者の生活の質を高め、新たな産業振興、雇用促進を含めた地方創生型DXモデルによるスマートタウン構想の一翼を担う取り組みとして、沖縄県内の公営団地への普及を進め、全国の団地やマンションなどでの事業展開も計画しています。
構成企業※内容は事業採択時のものです
喜くばり本舗株式会社
代表者名 | 山川朝賢 |
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事業内容 | データを活用した生鮮品の卸 |
設立年月 | 2020年4月 |
住所 | 豊見城市豊崎3番地71 |
TEL | 098-891-6330 |
ISCOハンズオン支援内容 | 遂行状況の確認・助言/事業報告の確認・助言/テストフィールドの発掘/技術情報展開支援/ビジネスモデル事業化支援/成果事例報告会の実施/年間有識者の派遣 |
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